化 粧

                    
                        斎藤 喜代子
                                           

電車の中、化粧を始めている女性の前の席に座ってしまった。…二重をくっきりとする器具、あれなんて言ったかな―? 次はアイラインを引くみたいだ。目が合った。慌てて目をそらし、本を取り出す。でも気になる。頭の中の第三の目はその方向を見ている。目を上げると睨まれるかな?…ちょっと見ると、目じりの下にピンクの色を入れていた。

 正しい化粧の仕方を習わぬままに社会に出、大人になり、そして老齢に至っている。昔から、あまり化粧はしなかったが、眉毛の薄い事は気にしていた。いつだったか長男に「あねさんみたいだ」と言われたことがある。江戸時代には眉毛がない事はとても便利なのだけどなー。で、眉を引いてアイラインを少々、アイシャドウを薄く、それから唇に紅を引き、ハイ出来上がり。今は、眉を書き、マスクをして出来上がり!

 くだんの女性、わたくし、東大島で乗車、岩本町で急行の追い越し待ち、そして小川町の下車だったが、念入りな化粧の完成を見ることはできなかった。「嘘」と、この「化粧」は相通じるものがある。女形の梅沢富雄、化粧品宣伝のイッコー然り、大ウソつきの顔形である。平素はむくつけきオノコであるのに、信じられないくらい綺麗になっている。

 女性政治家を見ていてがっかりすることがある。念入りに化粧をし、ツケマツゲをした目をパチパチとして見せる。これは美人を強調しているのか?ジェンダーレスを唱える政治家とは思えない。ドイツやアメリカ、台湾、他国の女性政治家とは一線を画している。私的には好みではない。大切な一票、入れません!

 時と場合により、化粧で美しく変身する事を否定はしないが、人間以外の生き物は雄が美しい身体を持ち、美しい声で囀り、雌を誘うのになー。


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