迷走した東京オリ・パラピック大会

                                地球環境フォーラム・ジャパン 埼玉県 渡辺 好造         
                        




東京オリンピック・パラリンピック大会が1年遅れて21年7月23日より多くの問題をはらんだまま無観客で開催された。今後、オリンピックを巨額の費用をかけて何のために開催するのか意義も問い直されており、オリンピックの問題点を検証していかなければならない。


①トラブル続きの東京オリ・パラ大会


 当初の計画段階から様々な問題を抱えていた。新国立競技場の計画案の撤回、大会エンブレムの盗用疑惑、五輪招致に絡む贈収賄問題などのトラブル。そして招致段階から旗振り役として関わってきた主要な人物の辞任。今年2月には、当時の組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言の責任を取って辞任を表明。「招致の顔」だった安倍晋三前首相、日本オリンピック委員会の竹田恒和前会長、猪瀬直樹元都知事といった主要中心人物が表舞台から消え去った。そして開会式直前には、過去のいじめで楽曲担当者が辞任し、差別発言で演出担当者が解任された。


②膨らむ巨額の開催経費


 招致当時、開催経費は、総額7340億とされていたが、その後、大会組織委員会は総額1兆3500億円とする予算を公表し、都も関連経費は7766億円と発表。様々な経費を合わせると大会経費は3兆円を超え、当初の4倍以上と見込まれる巨額なものとなった。


③多数のボランティアの辞退者

 東京オリンピック・パラリンピック大会の競技会場や選手村などで活動する無償のボランティアおよそ8万人のうち、辞退者がおよそ1万人を上回り、組織委員会では、大会運営には支障がないとしていた。その一方では、「五輪を支えるボランティアは無償が大前提」と言って多くの人々を集めながら、不足した人材を人材派遣会社への委託による「有償による人材」を確保し、多くの批判が寄せられた。

④相次ぐオリンピック開催反対の声


 当初より、オリンピックの反対運動を唱えてきた市民団体「反五輪の会」は、数多くのデモを主催し、「オリンピックは要らない」「聖火リレーを今すぐ止めろ」などと訴え続けた。5月には元日弁連会長である宇都宮健児氏がオンライン署名サイト「change.org」で東京オリンピック・パラリンピック大会の開催中止を求める署名を立ち上げ、東京都庁で小池百合子都知事に宛てた署名報告書(提出時約35万筆)と開催中止の要望書を提出。IOC(国際オリンピック委員会)とIPC(国際パラリンピック委員会)に対し開催中止を申し入れるよう要望し、署名は最終的には約45万筆を突破した。東京保険医協会なども東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求める意見書を送ったが、政府、都、組織委員会はその声を受け入れなかった。国民の8割近くが延期、中止希望であるにも拘わらず政権を動かすことができなかったのは何故だろうか?マスメディアや医療関係者が感染拡大の見通しがつかめず、五輪反対、阻止に及び腰であったからとも言われる。推進・政権側は一致してぶれない姿勢を貫いた——が、弱音を吐くとほころびが拡大することを知っていたから強気を貫き通した。

⑤今後の問題点


 開催前、菅首相は、開催目的については単に「安全、安心な大会を実現する」と繰り返し強調したため、壊れたレコードと揶揄された。具体的な説明を避け続け、開催の判断(責任)は、IOCにあるとして責任を回避し、開催目的と責任の所在の不明確化が露呈。IOC関係者からは、開催にあたり国民感情を逆なでするような発言が相次いだ。今後、大会終了後の当初の予算の4倍を超える巨額な開催費用の負担問題、オリンピックのために建設された巨大施設・設備維持費の確保等の財政負担問題が山積している。オリンピックは「平和の祭典」と言われてきたが、現実的には年々巨額化していく大会運営費、IOCの商業資本主義による経済優先・利権ビジネスによる経済格差の助長そして国家的な競技競争の激化。既にオリンピック開催は、当初の主旨から変節し、破綻してきておりIOCは、縮小、廃止を含めて早急に見直すべきである。




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