恭子の日記 ⑭

 
北風と太陽の役目




子育ての修行はとても大変。
子供達は、 転んだり、へこたれたり、道を間違えそうにもなったり。
親は子供に、「失敗を恐れず、歩かせる。」
「認めてやる」
「見守り、導き、自信をつけて世に送り出す。」
たまには北風の勢いを受けて。
たまには太陽に癒されて。
北風も太陽も自分の使命を自覚して、「未来を作る子供達」を育てなければいけない。



 

昔、地方の小さな小学校の先生をした時に、
私は素晴らしい校長先生にお仕えした。

 頭の良いシスターで、慈愛に満ち、決して怒らず、全てに愛情を持って淡々と問題を片付ける方だった

 当時の学校には、熱意に溢れた若い先生が多く、体当たり教育の彼等、彼女等は生徒に人気があったが、決して体制派とも言えず、役職の方々とはよく意見がぶつかることも多々あった。

 そんな中、未だ大学を出たての未熟者の私は、しっかりした意見もなく、宙ぶらりんの頼りない存在だった。

 幼稚園から上がったばかりの一年生を
受け持ちながら、教えるというより、
一緒に学びながら、よちよち歩きの先生だった。

 当然、職員会議では甘い、しっかりしろ、
と突っ込まれる、傷つく、落ち込む、
歩きながら鼻血が出る、仕事がこなしきれず
残業も多くなる。


 一通りの洗礼は受けた。

 子供ならずとも、すっかり自信をなくし、
弱気になり、登校拒否を起こしそうになったとき、
ふと、校長先生が私の横に座り
わざわざ有名な「北風と太陽」
の話をしてくださった。


 北風はどんなに強く吹き付けても、
ついに旅人のコートを脱がせられなかった。
太陽はあっという間にコートを脱がせたのよ、
あなたは太陽。
あなたという太陽の暖かさは
誰にでも真似ができるものではないわ、と。

 短い話だったけれど、今でも強烈に
私の心に残り、辛辣な批判や
ご注意を受けた時でさえ、
「私は太陽、私は北風の役を受けてはいない」、
と自分に言い続けた。

 子供達の失敗も傷ついた経験をしたからこそ、
理解してあげることができた。

 怒りを相手にぶつけるより、相手を受け入れ、
怒らず、理解する方がうんと厳しいが、
幸せなことに、見習える
校長先生がそばにいらした。

 校長先生はやがて日本の管区長様になり、
ローマ法王を補佐する
4人のシスターにも選ばれた。


 私は天の計らいの道を全て受け入れることが、
未だやり遂げられず、失敗を繰り返し、反省をし、
修行の道を歩いている。私のゴールは遥か遠い。


 だけどあれから約40年経った今でも
同窓会を開いて呼んでくれる。


 来月も集まりがあるが、末の子の
出産日と重なり、行けるか怪しい。


 それでも子供たちは
(もう、中年になってはいるが)、
皆気持ちを合わせ、
新しい私の孫の命のために
祈りをささげてくれるらしい。


 太陽の役目は孫の命にもつながるのかと
感謝しながら、また、与えられた太陽の役目を
全うすべく、ゴールを目指して歩いて行く。


 画柳会代表

中田恭子(横浜市)








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