豪華客船
クイーンエリザベス号乗船記

大阪市中央区 馬場 正雄



金持ちがするクルージングをしてみようと、

世界一の格式を誇るクイーンエリザベスに

大阪からアモイまで乗ってみた。

3月22日大阪港を夜遅く出発、翌々日早朝に長崎、

その夜、上海に向けて出港した。

翌日は終日洋上、翌朝早くに上海に寄港して

上海観光。翌日は終日航海で、早朝アモイ入港。

船内六泊だ。世界一周も兼ねて各地を回り、

部分乗船もできる。軍艦のような勇ましさ、

商船のようなスマートさはないが、

全長294m、最大幅32・3m、9万㌧、乗客2081名

定員、2010年竣工の巨船である。

ホテル仕様で、長いタラップを登り船内に入ると

そこはメインロビー。エレベーターで一気に

デッキ#8の8014室に入る。

船の客室らしくコンパクトだが、バルコニーも

付いている。シャワー室は狭いが

窮屈さは感じなかった。






のぼりさんよろしく船内探訪

 天保山桟橋(大阪港)に接岸するエリザベス号に

乗込むには、名簿やパスポートの確認、

イミグレーション、手荷物検査、船内支払いカード

など煩雑な手続きが必要。エリザベスビルの

デッキは12階まである。左右の舷に長い廊下が

あり、4基のEVホールがある。小さいながらも

ジャグジーなど何ヶ所も。屋外プールは少し

寒いが、温湯でカバー。1、2、3階は娯楽施設が

集中する。領海内はだめだが、日本を離れると

おおっぴらにできるカジノ…人が不幸になるのが

前提だから、公明党まで賛成するのが不思議だ。

 図書館、ブランドショップ、美容院、

ダイニングルーム、トレーニングルーム、写真館、

画廊、卓球室にゲートボール室。各所に展望室や

カフェなどがあって地下はメディカルケア室。

甲板たるデッキには数十のビーチベッドが幅を

利かせていた。スクリューが2つ付いた救命

ボートが10艘ほど甲板の上に設置され、

ゲートボールやバドミントンコートも。

レストランは圧巻だ。入口に向かう廊下は船内を

感じさせないゆとりがある。乗客は航行中も

殆ど揺れることもなく、船内生活を思い思いに

楽しんでいた。






 レストランも街とは比較にならないほど、

バイキングの種類が豊富、海を眺めながら

雰囲気も最高だ。ロイヤルコートシアターは

3フロアーぶち抜きで、3階席にはバルコニー席

まである。その一室はエリザベス女王が#15席

に就かれたのでロープが張られていた。座席は

800席、日本橋三越劇場を上回る。船内にいる

ことを忘れてしまう落ち着いた雰囲気で、

毎日違ったショーが見られる。踊り子さんは

出番のない日は何の仕事をしているのかな?

いやいや、他の仕事なんかするわけない等と

雑念が入る。連れ合いは英語ばかりで

分からないから面白うないと不服そう。

ことばが分からなくても身ぶりなどで感じさせる

催し物、出し物が良かったのに。船長曰く、

2000名のお客様で約350名が日本客とか。

(もっと多く思えたが)







乗客や乗船員はどんな人


 千差万別の乗客で、上品で豊かそうな人も多い。

沖縄に3ヶ月、京都に1月いたとかいう御仁もいた。

50代、60代で余暇を楽しんでいる旅行者も多い。

車椅子も5人、杖に頼る人も20人はいたな。

目の見えない人も見かけた。余生をゆっくり

楽しんでいる西洋の人も多かったな。

日本人は悠々自適で余裕綽々の人もいれば、

楽しみにしていたクルージングは初めてだと

嬉しそうに語る人、他方、小金を貯めてやっと

エリザベス号に乗れたような団体のグループも

かなりいた。小柄な日本人はどうしても貧相に

見えるのは致し方ない。

 エリザベス1世の頃は英国貴族風の人ばかり

だったのだろうか。クルージングを楽しめる人が

往時より増えたのは歓迎すべきことだろう。

クルーたる乗組員は人種が多彩だった。

ベッドメーキングのボーイはフィリピン人、

ウエイトレスはラトビア人。写真屋はマレーシア人、

バイキング会場にはタイ人やベトナム人、

カジノの賽を振るのはバングラデシュ人、

受付やショーをやるのは西洋人。

まぁ、人種配分は当然の帰結かもしれないが。

クルーズ各社も競争だから人件費も主要な

ポイントだろう。





さすがはエリザベスの晩餐会


 航海中に時々フォーマルな日が設定される。

その日は18時以降はラフな衣服はやめて、

男性はネクタイとスーツに、女性はドレス姿で

お越しくださいというわけだ。淑女方にとっては

これがまた大事らしい。普段は身に着けるのも

躊躇するようなジュエリーを身に纏い、

写真に納まるのも大きな目的だ。

ベストポジションは中央部の吹き抜け3階で

階段を利用したり、或いはエリザベス号の

船影画をバックに納まるわけだ。撮影時間帯には

10組前後が並ぶ。

 小柄な日本女性も和服を装えばゴージャスで

ある。キャプテン主催の晩餐会になると私は

隅っこで小さくなる。社交ダンスは優劣の差が

顕著だ。



この踊りは一見、女性が自由闊達に動くように

見えるが、その実、男が主導権を持って華やかな

ドレスの華を開かせるそうだ。軽やかにステップを

踏む者、ぎこちない者、ゼンマイ式の踊りと、

私だっておおよそ分かるぜよ。毎日色んな名目で

ダンス場は踊り手に占有されていたが、

船上ダンスが目的の客も多いからな。


 キャプテン(700名の船員を率いるのは

女性船長だった)主催のパーテイは、

もっと大変だ。入り口で船長と記念写真をと長蛇の

列で、待つこと20分。ご婦人方は着こしめした

自分に浸るのがクルージングの目的でもあるようだ

その母から義母から、あるいは自ら手に入れた

ジュエリーで思う存分着飾ってカメラに収まる。

もちろん、船員が担ぐシャンパン、ワイン等は

飲み放題だから私は心おきなくいただいた。

船長が各部署の部下を紹介し終わったら、

あっさりお開きになって舞踏会場に衣替えだ。






クルージング30回のつわものも


 それとなく聞いてみたら、数回目が一番多く、

10回、20回いや30回の猛者までいたのだから

驚いた。いったい金がどこから出てくるのか

私には判らない。こんなお金持ちと話していると、

金はどこからでも湧いて来るように思える。

私が気にしていた「上級クラス以外は立入り禁止」

ゾーンがあるにはあったが、不愉快なほど多くは

なかった。窓のない客室はその分広くてお得な

部屋だとも聞いた。それに参加回数を重ねると

船会社も客室係も大いにもてなしてくれて、

待遇がVIPになって、食べたいものを言えば翌日

には何でも食膳に上らせてくれると豪語する

客もいた。






 完全現役は少ないが、半分現役の人、

全くリタイヤした人に分かれていた。足腰が

立たないようになってしまってはライフ・クオリティが

落ちるから、今のうちに体験を重ねたいとの意味が

あろう。中には持っている金を使いこなして

しまわないといけないという程度にしか考えてない

人にもお目にかかった。

「どこの料理が良い」「どこのシアターが面白かった

」「あの船のダンス曲が踊りやすい」

「どこの観光が充実していた」の話ばかりの

世捨て人かと思われる輩で、ある意味勿体ない

感じもした。



 遣唐使が、鑑真和上が、倭寇が命がけで

東シナ海を渡ったのに較べると余りにも勿体ない

気がして、私はフロントに交渉してアモイで降ろして

もらうよう交渉したが、香港までの契約だから

途中下船はイミグレーションの準備が大変だ

と言われたが、そこはそれ、持ち前の強引さで

あばよ!をしてきた。










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