映画『シャルロットすさび』

10月6日より上映開始


本誌に毎号寄稿している
在仏30年の独舞家でもある
岩名雅記氏の新作映画が
10月からいよいよ日本で上映開始だそうだ。
彼、岩名雅記は昭和天皇が
まさに崩御せんとする1988年末、
日本脱出を試みたひとりの舞踏家、
平成日本の30年を全く知らずに、
時代遅れ、時代錯誤、純潔/純粋
というも愚か、エロや神話が
まだ藝術であった時代を信じて
171分の「世界論的」
長編劇映画を作ってしまった。

さてこの映画、空白の平成を
見事「上書き」出来るであろうか、
というわけですな。
その監督から映画づくりの
苦労話、裏話を寄せていただいた。








 60歳になって若い頃からの夢だった
映画づくりに挑戦、今回は4作目です。
2015~16年にかけて
パリ、ノルマンディ、東京、福島で
合計7週間の撮影、
昨年末やっと上映版が完成した
私の長編劇映画第4作が、
今年10月東京新宿のK’sシネマを皮切りに
いよいよ日本上映開始となります。

 映画といえば壮大な規模/予算が
想像されがちですが私たち
インディーズ映画の作家は
皆さまからのクラウドファンディング(=CF*)
以外は全て個人の持ち出しで、
それこそ爪に火を灯しながらの作業です。
それに伴っていろいろな困難が
発生しました。経済の問題は
先ず初めにあるのですが、
それ以上に人間関係や
個々人の心理の変化に伴う
亀裂が最大の困難を作ります。


 日本のスタッフ/キャストが
フランスに来て仕事をする
ということの難しさは
環境の変化、言葉の問題、
食生活から始まって
様々な局面に現れて来ます。
日本人の主演女優さんが
監督(私)との軋轢で
何度も出演拒否をしたり、
一週間にわたる
「引きこもり」があったりで
現場は相当混乱しました。


 何とかフランスでの撮影が終わり、
東京~福島での撮影になりましたが
ここでもいちじ代役を立てる
という事故があり、
予算が一挙に膨らみました。
それでも群馬県の
法師温泉・長寿館さんをはじめ、
無償で撮影現場を
提供してくださった方々のおかげで
何とか完成まで漕ぎ着けました。


 思うに人間関係は遠ければ遠いほど、
近ければ近いほどうまく行き、
その中間が
いちばん問題を生じやすいのです。


相互の関係が遠ければ
敬愛や(いい意味で)忖度が生じますし、
よく知り合っていれば「言わずもがな」
の関係になります。
とはいえ日本では15年来の友人に
助監督を依頼したのですが
突然彼から絶交を言い渡されました。
その原因は未だ不明ですが
監督の知らないところで
スタッフ間のいさかいが
あったようなのです。


 東京での撮影が終わったとき
フランス人の録音チーフJが
「この映画はマサキの映画でもあるけど
みんなの映画でもあるんだよ」

と全員に諭すように言ってくれたのが
大きな救いでした。
総じて私のように30年も
外国に暮らしている
日本人は(大変失礼ながら)
日本だけに住んでいる
日本の方々について
しばしば考えざるをえませんでした。
著名な社会学者Hが
「国際的であるとは日本に片足を、
もう一方の足を
海外にかけて立つことだ」
と上手いことを言っていたのですが
全くその通りだと思うのです。


 否定的なことばかりを連ねてしまいましたが、
往往にして困難な現場を
くぐり抜けた映画は出来がいいとか  (笑)。
えつ、ストーリーですか?
話しは現代のパリ。
自身のアート活動に深くのめり込んだ為に
前妻スイコを失った
日本人パフォーマーK(42歳)は
以前のようにシンバルを使った
パフォーマンスが出来ないでいた。
初夏のある午後、
Kは公演に使う板ガラスを買うため
パリ13区にあるガラス店を訪れる。
そこでKは
日本人の女主人 朝子(35歳)に出会う。
何故かほろ酔いの朝子 

それからは劇場にて。
ぜひ皆様のご来場をお待ちしています。






 *CFとは一つのプロジェクトのために一般の方々に募金を募るシステム。今回は上映のためのCFで目標額は175万円、8月末迄です。

 https://motion-gallery.net/projects/susabicharscreenjp

(『すさび』CF)(岩名記)

 


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