公害・環境・核問題の著者

  川名英之氏に聞く ②

未来に向け私たちがなすべきこと




中国は一衣帯水の経済地域をうたっていますが、

PM 2.5や黄砂をどう解消してくれるのか、

日本としてどう要求、対処すればよいと思いますか





川名 PM 2.5の主な成分はディーゼル自動車や

工場、石炭発電所などから出る排ガスに含まれる

(すす)で、発がん物質も含まれています。

その主な発生原因は石炭と

石油(車の場合はガソリン)の燃焼です。

中国ではエネルギーの7割近くを石炭が

占めているので、PM 2.5の排出は火力発電が

最も多い。PM 2.5の排出を減らすためには、

火力発電や工場の石炭使用量を大幅に減らし、

ディーゼル車には微粒子を取り込む袋を

取り付けるなどの除去対策が必要ですが

これには「大手術」が必要です。

PM 2.5は黄砂とともに偏西風に乗って

日本に運ばれてきて

日本の大気を汚染していますが、

汚染をなくすには抜本的かつ強力な

PM 2.5削減対策の実施を待つしかないでしょう。

黄砂は古来、主に中国北西部で巻き上げられ、

偏西風などで東方に運ばれるもので、

中国の砂漠化面積は地球温暖化による

乾燥地帯の拡大のため増加傾向にあり、

その影響で黄砂の発生量が年々、増えています。

黄砂には、もともとアルミニウムや

マグネシウムが入っていますが、

日本到着までには様々な

大気汚染物質も取り込みます。

PM 2.5は長い年月をかけて取り組めば、

将来、飛来が防止されるかもしれませんが、

黄砂は日本が要求しても中国には

対処不可能ではないかと思います。


21世紀末までの上昇温度を2度までに抑える

パリ協定の意義を教えて下さい。


川名 IPCCの分析によると

海水が上がるのは勿論、

熱波や洪水が増加し、病人や死者が増える。

渇水や干ばつが激化し砂漠化が進み、食料や

水不足となり難民も増加します。この様な事態は

ぜがひでも避けねばならないのですが、

現在の各国の温室効果ガス削減目標を達成した

としても2度以内に抑えるのは困難でしょう。

ましてやトランプ氏が選挙公約のパリ協定から

離脱したら、各国の足並みが乱れます。

(離脱は3年間はできないことになっているが)

英国のEU離脱も環境保護の観点からも困ります。

同時に戦争のない欧州を建設しようという

崇高な理念からも。

トランプ米大統領のパリ協定離脱をどう考えますか。

川名 米国は世界第2の温室効果ガス

排出大国(排出割合は21%)なのに、

自国の経済的費用を惜しんで責任を逃れよう

とするのは責任逃れであり、歴史的過ちです。

地球温暖化が人類の未来を閉ざしかねない

重大な問題であることが分かっておらず、

「地球温暖化はでっちあげだ」と主張している

のだから、“何をかいわんや”ですね。

世界でパリ協定に加盟していない国はシリアと

ニカラグアの2ヵ国だけ。

地球の未来を考えず、国際協調を無視した

利己的な行為は、国際社会のリーダーであるべき

米国の指導的地位の低下と

国際的孤立をもたらすでしょう。

しかし世界は既に温室効果ガス排出量を

減らしながら経済成長を実現する時代に

入っているため、

全米の1000を超える有名企業や

71都市がパリ協定を支持、15州が連邦政府を

訴追する動きを見せています。トランプ大統領の

パリ協定離脱声明を受けて、

ワシントン州のインスリー知事、

ニューヨークのクオモ知事、

カリフォルニア州のブラウン知事、

マサチューセッツ州のベーカー知事は

パリ協定の目的を達成するために

「気候同盟」を結成する意向を明らかにしました。

対策に熱心な自治体や

企業が独自の温室効果ガス削減対策に力を

入れているので、温室効果ガス排出量が

短期的に大幅に増えるとは考えにくい。

ただ米国は温室効果ガス削減の技術革新の

国際的潮流から取り残され、

低炭素社会づくりが停滞する恐れがあるでしょう。








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