貧困がもたらす深刻な影響

 ―大阪府「子どもの生活実態調査」より―


大阪 松原市民 古川 一夫


10万人が調査に回答


 大阪府の全43市町村で「子どもの生活実態調査」

が2016年6月~9月に実施され、結果が

17年3月31日に公表された。調査対象は小学5年生

・中学2年生及びその保護者で、回答者は

9万9809
人 (回収率62.3)にものぼる。

子どもの貧困対策を目的とした調査としては

異例の大規模なものである。



 貧困の影響を分析するため、回答者を困窮度別

に4分類─①平均収入以上 ②困窮度が低い

(平均収入の60以上100%未満) 

③困窮度が中位(平均収入の50以上60未満)

 ④困窮度が高い(平均収入の50%未満

し、これに約60項目の回答をクロス集計して

分析している。



※困窮度が高いグループでは母子世帯が50.6

占める。




困窮度による差が顕著に




 分析結果のうち、いくつかを以下に紹介する。





① 「経済的な理由で子どもを

学習塾に通わすことができなかった」

保護者の割合は、困窮度が高いほど顕著に

高くなっている


  平均収入以上4.3

  困窮度が低い14.6

  困窮度が中位23.4

  困窮度が高い27.0



② 子どもへの質問で、朝食を「食べない」割合は、

困窮度が高いほど高くなっている。



  平均収入以上1.0

  困窮度が低い 1.6

  困窮度が中位2.5

  困窮度が高い3.4






③ 保護者が子どものために

「貯蓄をしたいが、できていない」割合は、

困窮度が高まるほど顕著に高くなっている。



  平均収入以上21.8

  困窮度が低い49.5

  困窮度が中位64.6

  困窮度が高い71.5



④ 保護者が子どもの将来に

「あまり期待していない」「期待していない」の

合計割合は、困窮度が高まるほど増えている。

あまりにも悲しい現実である。



  平均収入以上10.1

  困窮度が低い 15.5

  困窮度が中位17.3

  困窮度が高い19.5



⑤ 「どこまで進学したいか」



との質問に、「中学校まで」「高校まで」と答えた子ど

もの合計割合は、困窮度が高いほど高くなっている


  平均収入以上9.8

  困窮度が低い17.7

  困窮度が中位20.9

  困窮度が高い24.1



 憲法26条「すべて国民は、…その能力に応じて、

等しく教育を受ける権利を有する」が泣いている。



⑥ 子どもに対する質問「自分の体や気持ちで気に

なること」への回答では、差は大きくはないものの、

困窮度が高いほど高い割合となっている。

「眠れない」割合は



  平均収入以上11.0

  困窮度が低い12.3

  困窮度が中位12.6

  困窮度が高い12.7



 ほとんどすべての項目で困窮度が高まるにつれ

割合が高くなる、あるいは低くなっていて、相関関係

がはっきりと表れている。




困窮度が多方面に影響




 分析の結果、世帯の経済状況が子どもの

生活習慣や学習時間、進学、心身の健康状態、

親子関係、相談相手など多方面に影響していること

が明らかになった。貧困のもたらす影響は予想以上

に深刻かつ過酷である。たまたま貧しい家庭に

生まれた子どもが、成長し・学び・能力を育てる十分

な機会を与えられず、将来の希望や可能性を

奪われてしまうことは決してあってはならないことだ


 国や自治体は貧困の連鎖を断ち切るため、困窮

度の高い家庭に寄り添ったキメ細かい施策を

積極的に行うべきである。そして子どもの貧困問題

を根本的に解決するためには、非正規が労働者

全体の40%を超え、その賃金が正規の60%程度と

いう格差社会を変えることが不可欠である。




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