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公害問題全11巻、と環境問題全12巻で

元毎日新聞記者川名英之氏が人類に警告

                      対談  聞き手 編集部




@ 川名さん今日は。ご自身一人で書かれた公害・環境問題の著作
についてお伺いしたいと思います。これほどの大作の出版、
それも個人の手で出されるには大変な苦労がおありだったでしょうね


1) 毎日新聞に在職時代から当時の定年55歳になったらこれらの

問題を書いてみようと心に決めていました。確かに研究所や大学に

属して書くのではないですから費用とか情報とかの面でしんどい

思いがしましたが、それだけに自由に自分の思いを人に気兼ねする

ことなく書けましたかな。これ以外にも『核の時代70年』など全部で

36冊になりますが、自分の人生はこれだけのものを世の中に問う

ことができて満足しています。学生達が環境問題や卒論を研究する

のに図書館でこれらから引用したりするのが多く、やりがいがあった

と思っています。今も生涯最後の作に挑もうとしています。(笑い)



A 記者時代から環境問題を担当されたと聞いていますが、日本政府は公害・環境問題にどのように取組んできたのですか?


2)18世紀に英国で始まった産業革命は人類の歴史に画期的な

発展をもたらしたのですが同時に本格的に自然、環境破壊の始まり

でもあったわけです。

皮肉なことに人類の英知が自然、環境破壊をもたらしたと言えます。

人間以外の動物は決して地球を傷めたりしませんからね。(笑い)



B それでは逆に人類が環境破壊に本気で気が付き問題にし始めたのは?


3)勿論、部分的には相当以前からあったでしょうが、世界に広く

警鐘されたのは私が環境庁詰め記者時代の1980年カーター大統領

が《西暦2千年の地球》報告書が最初でしょうね。

それに対して日本政府の迅速かつ適切な行動を現場で私は取材し

てきました。



Cほう、1980年に二千年度を問題にしたのですか、近未来ですね。どんなことが書かれていたのですか?


4) 『2千年の地球』はこのまま放置すると人類の未来に暗い影を

落とすことになると警告していました。それに対し環境庁の官房国際

課長の田中努氏(地球環境問題の専門家でもあった)が、鯨岡兵輔

長官に2千年の地球の要点を説明し『二年後のケニアのナイロビ

国連人間環境十周年会議』で,「日本が地球環境問題に国連の積極

的な取り組み」をするように提案すべきだと進言したのです」



D そうですか我々門外漢は全く知らなかったのですが「田中努課長
が非常に大きな役割を果たされたわけですね。日本人も人類も彼に
感謝しないといけないわけですか?


5) そうです。課長に動かされた長官は鈴木善幸首相を動かし

「地球規模の環境問題に関する懇談会」と同会からの提言にまで結

びついたのです。

それは画期的なことでした。後任の原文兵衛長官がナイロビで

「懇談会報告の趣旨に沿った提言」をしたところ国連本会議で

「環境と開発に関する世界特別委員会」の設置になったのです。

そこで『先進国と途上国が協力して《持続可能な》開発』をめざす

報告書が発表された。これには2030年までに貧困の撲滅、経済的繁

栄と幸福の共有、環境保護の実現をめざすというもので

日本はこの分野で国際社会に大きな貢献をしたことになります。

私は田中氏に取材をして大きな感銘を受け、自分も環境保全に

役立つことをしなければと思い一念発起、環境問題を系統的、

年代的に書く仕事に取り組むことに決めたのです。



E それでは川名さんの著作を紹介して下さい。


6) えぇ、86年から96年まで10年かかりで
《ドキュメント 日本の公害》13巻、
05年から10年かかりで
《世界の環境問題》11巻を

新風出版から出しました。資金がないのに大仕事を始めたのは考え

てみれば無謀でしたね。借金もしましたよ。思い出深いのは

アラル海(カザフスタンの塩湖で灌漑開発によって湖面が干上がり

極めてわずかしか残っていない)の取材で、日中は45℃、明け方は

5℃という寒暖の差の激しい現地でのテント生活は70歳の老いの身

には応えましたね。



Fナルホドね、ところで私たちには60年代から四日市公害、水俣窒素、排気ガスと公害問題が大きく問題になりましたが、現在では環境問題が話題の中心みたいな気がしますが。


7) マスコミの取り上げ方によるのでしょう。現に中国のPM2.5で

自身も苦しんでいますし、公害規制で廃業した工場も多いし、

日本まで悪影響を与えているから彼等も面子もあっていずれ解決さ

せるでしょう。産業革命が石炭、石油の化石燃料の大量使用を呼び

数々の問題を発生させているのですから。“ジーゼル車から出る微

粒子の煤が結合して発生する粒子などが”花粉症の一因とも言われ

ています。近年ガンの増加は化石燃料に発ガン物質が混じっている

のもそのせいでしょう。一時日本でも光化学スモッグが随分警告され

ました。車の排気ガスがに含まれる窒素酸化物が光化学反応を起こ

すので米国ではマスキー法でそれを10分の1以下に規制にしようと

しました。しかし、3大自動車メーカーの圧力で実施できなかったが、

日本では美濃部都知事が国を突き上げて環境庁に世界一厳しい

基準を作らせた。トヨタ初め自動車会社は勝ち残りをかけて

各社頑張ってそのハードルをクリアーできる車を作って世界に冠たる

自動車産業ができたのがある意味日本の高度成長の一要素

でしょう。今日の日本車の繁栄を招いている理由でもあります。

ただ、産業界は利益中心の作業しかしません。その結果の悪影響に

は余り関心がないので国や国連が長期的観点に立って予期される

公害・環境破壊などにも配慮し規制をしなければなりません。

これは開発と同じくらいに重要なことです。



G 私も宇宙の広さや太古時代、いや生命が誕生以前の悠久の永さは何となく思いを持っていましたが、川名さんの著作に接し改めてその深さ、大きさ、に気が遠くなる気がします。いや、完全に気が遠くなりました。現在の便利な文明社会はいつの間にか慣れきって享受するのが当たり前になってしまっている、そういう反省からか変な気分です。


8) 人類は生活をより便利に豊かにするためにまず野生動植物を

利用し生態系を破壊してきました。とりわけ建築・工業製品・家具・

紙製品や燃料のために木材の伐採を続けました。地球にすれば

わずか1万年間に地球上の38%が消えました。熱帯雨林には地球上

の半数弱の生物が生息しているがそこの5分の1を絶滅させたと

言われています。人間は生物種の頂点に立っているが自らの

つごうで他の生物種をどんどん絶滅させてきたのです。



H 文明が地球環境を破壊し始めたのは皮肉な現象ですね。


9) 産業革命が地球環境を破壊するルーツであったわけですが、

人類社会がそれに気づき対応を始めたのが72年6月のストックホル

ムの人間環境会議で余りにも遅かったわけです。二十周年の92年

6月《地球サミット》から15年の温暖化防止の《パリ協定》に至るわけ

です。環境破壊は急ピッチで進んでいます。各国が協調して保護し

なければいけないのに、愛国心を煽り、自国の国益を主張する

「自国ファースト」主義が世界に広がれば人類は自分の首を

絞めることになるのを分かってもらいたい。



I 温暖化防止とはよく耳にしますが21世紀末までの上昇温度を2℃までに抑えるパリ協定の意義を教えて下さい。


10)それはIPCCの分析によると海水が上がるのは勿論熱波や

洪水が増加し、病気になる人や死者が増える。渇水や干ばつが

激化し砂漠化が進み、食料や水不足となり難民も増加する。

このような事態はぜがひでも避けねばいけないのですが現在の各国

の温室効果ガス削減目標を達成したとしても二℃以内に抑えるのは

困難でしょう。ましてやトランプ氏が選挙公約のパリ協定から離脱し

たら、各国の足並みが乱れます。(離脱は3年間はできないことにな

っているが)英国のEU離脱も環境保護の観点からも困ります。

同時に戦争のない欧州を建設しようという崇高な理念からも。


J地球以外に生物をまだ人類は発見していませんが、地球上では
自然と生態系がまるで神様が天地創造されたのではないかと思うほど極めてうまく調和していますね。いや、神様は生命が誕生する36億年以前から、或いは原人が火を使った50万年前の北京原人ぺキネンシスの前からこの世を支配されていたのですかね?(笑い)


11)それは私には分かりませんが、一つ一つの生物が他の生物と

関わり合いながら調和のうちに生きているのが生態系であり

野性動植物の世界です。これは海中で生命が誕生以来進化し

それぞれの役割分担がおのずと決まって微妙な調和が出来上がっ

たものです。生物界の頂点に立つ人類はこの「かけがえのない

地球」を大切に守らなければならないのです。水や空気がないと

他の星においても生きられないと思います。生命は海の中で誕生し

たこと、光合成によって空気中に酸素が増え、有害な紫外線を遮断

するオゾン層が形成されて初めて生物は海中から陸に上がって生息

できるようになったことが水と空気の役割の大切さを物語っています


K大統領選挙にも出たことのあるゴア元米国副大統領製作の映画「不都合な真実」を見ましたが、人類はまだとても真剣に考えているとは思えません。どうしたら人類は自分の未来を正面から見るようになりますか?


12)ゴア氏は今も「分かれ道にさしかかっている。終焉を迎えるか、

未来に向うかの」と言っています。私は人類滅亡の可能性の原因は

1番目が2060年代に100億人を越えると予測される人口になり食料

不足から来る問題。2番目には地球温暖化による病気、天変地変に

よる滅亡。いずれも今世紀末頃深刻化し、人類社会と現代文明は

危機的状況に陥る危険性があると思っています。3つ目に核兵器に

よるものでしょう。勿論、いずれも現在我々が予測している程度で

収まれば何とか生き延びれるでしょうが、そこから異常なまでの問題

が起これば連鎖的に滅亡に進むのではないでしょうか。



Lそうですよね、私は川名さんの本を読んで、「今の超文明社会がいつまでも続く」と思うのがおかしい、と考えるようになりました。世界中いや違った全宇宙で地球上の人間だけが電波や電気、コンピューターを駆使できる社会は不思議だと思います。原発問題はその警告のようにも思えるのですが。


13)その警告に正面から立ち向かわねばいけません。巨大なエネル

ギーを生み出す原発は確かに高度な科学技術ですが、反面人類が

完全にはコントロールできない危険な技術です。核燃料サイクルの

高速増殖炉は世界中でも失敗しています。事故発生の危険も、

予測外の事故も大災害になります。原発は油断をすると僅かな死角

を狙われそれが悲惨な事故に繋がるのです。原発にミサイル攻撃は

どこの国、誰でも考えられますが、もっと想像以上の問題も考えなけ

ればなりません。想定外を配慮するのは無理でしょう。(笑い)



M北朝鮮問題も含む核兵器をどうお考えでしょうか?


14)広島、長崎に原爆が投下された時から「核の時代」が始まりまし

た、人類社会は核戦争の脅威にさらされ続けています。この70年、

幸いにして核戦争を防いで来れましたが、偶発戦争や誤謬による場

合も含め明日核戦争が起こらない保証はありません。通常兵器と

核兵器とは全く違うことを人類はもっと理解して対応しなければいけ

ません。広島、長崎の被害を考えれば良いのではなく当然殺戮度合

いはもっと遥かに向上していると見るべきです。そう間違いなく悪魔

の兵器です。それを世界中では何百、何千発と十カ国近くに拡散し

てしまったのです。軍人は常に核兵器を考えながら作戦を立ててい

ることでしょう。逆に政治かも我々庶民も核戦争をどう防ぐか

ではなく、防ぐだけではいつかは核戦争が起こるのですから、

どうしたら核兵器の全廃に持っていけるかではないでしょうか?

核保有国が持っている核を全て放棄せざるを得ない状況を創り出さ

ない限り、核廃絶は実現できないでしょう。

反核運動が地球上の全ての核兵器を廃棄させる運動に発展するこ

とを願って「核の時代70年」を刊行しました。



N生命の誕生からの永さからすると人類文明は短いものですね。


15)そうですよ。地球誕生がこの机の左右の長さだとすると文明期間

は私の指くらいもありません。それでも1万年でしょうか。まぁ1万年は

ほんのわずかの期間と言えます。それでもこうも言えます。人類が過

去1万年にわたり営々と築き上げた現代文明の未来には今、崩壊の

黄信号が出ています。多くの識者は「残されている時間はそう多くは

ない」としています。「もはや何をどうしても手遅れ」と宣告される悲劇

的事態の到来を避けるために、人類は危機の克服に全力で立ち向

かわなければいけません。それが人類一人一人に課せられた課題

ではないでしょうか。









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